さて、ひび割れて大騒ぎしたシリンダーヘッドの雌ネジ修復も無事終わりましたが、
外し序に悪戯を施します。
もう少し時間を要するので、その間、他の部品の作業を進める事に致します。
前回ハイカムを入れた際、シリンダーとピストンが馴染むまで、キックスタートするのに非常に苦労しました。
今回は、機械加工にて精度が上がるので、更に圧縮が高まる予定。
「キックを踏み降ろす自信が無い・・」
そう判断した軟弱な私は、キック始動が楽になりそうな、デュレーションの長いカムを用意しました。
純正カムギヤに打ち換え準備を進めていると、機械加工屋に出していたシリンダーとピストンが戻って参ります。
左が外して間もなくの画像、右が戻って来た際の画像ですが、シリンダー内の色が灰色に変化しているのが確認できますでしょうか?
常連様、お薦めのパルホスM処理をシリンダー内に施し、慣らし走行に備えます。
この処理を施す事で、油膜保持に優れ、耐摩耗が格段に上がるんだとか。
側圧が非常に高いV型エンジンの耐久力を上げる為の選択です。
再使用するピストンは、堆積したカーボンを剥離します。
WAKOS リムーバーにて、薄いカーボンは剥離できるのですが、石の様に硬化したカーボンは、地道にこそぎ落とすしかありません。
序盤、ステンレススクレーパーやカッター等でこそぎ落していたのですが、この作業は非常に骨が折れるんです・・・
KTC セラミックスクレーパーの存在を思い出し、途中から使い始めるのですが、
「最初からこれを使えば良かった・・」と、後悔したのは後の祭りで、ピストントップに傷を入れてしまいました・・・
セラミックスクレーパーならば、アルミ面に対し最小限のダメージで、カーボンが落とせました。
工具屋に勤務した当初、こんな物でガスケット等が削り落とせるのか?と、
半信半疑で使い始めたのですが、使って納得、面倒な剥離作業の時短が実現致します。
以前、板橋本店マイスター上田のブログにて、セラミックスクレーパーの利点が窺える写真があります。
アクリル板に液体ガスケットを塗り付け、アクリル板を傷を付けずに剥離できるかの実験ですが、ほとんど傷を付ける事無く、ガスケットのみを剥離しています。
また、このスクレーパーに使用されるセラミックはジルコニア系と呼称されるセラミック中、最も硬く圧力に強いセラミックが使われており、長切れする耐久力を持っています。
強いとはいえ、落下には十分ご注意を!
「先輩に借りて使ったら凄い良かった!」と、来店されるお客様からの評価も高いのです。
左の赤丸内がステンレススクレーパーで入れてしまった傷で御座います・・
右は、セラミックスクレーパーを使い除去したピストンですが、細かい擦り傷はあるものの、深い傷は皆無ですね♪
ピストントップの見慣れぬ変な形状の窪みは何?
この話は長くなりますので、今回は割愛致します。
続く・・
何かご不明な点が御座いましたら、お気軽にスタッフまでお問合せ下さい。