数あるハンドツールの中でも定番中の定番として挙げられる工具の一つ、HEXレンチの 「ボールHEX(ヘックス)レンチ」について今日はお話させて頂こうと思います。
つい先日の事ですが、以前より弊社をご利用頂いているお客様より、各社のボールHEXについてご質問を頂きました。現在では非常に多くのメーカーからHEXレンチが紹介されていますが、使用されている鋼材により強度面やしなりなど、特徴が出やすい工具でもあります。偶々今回頂いたご質問の内容を深慮した際に、今まであまり重要視していなかった、気づいていなかった点が幾つか有り、私自身も改めて勉強となりました。今回のブログでは、各メーカーのボールHEXレンチの形状の違いが大きく、この形状差により使用感も異なってくるのではないか?という観点からちょっとしたテストを行ってみる事にしました。
その前に、まず各メーカーのボールHEX部を接写で撮影してみました!
今回テストに用意したメーカーは「PB SWISSTOOLS(ピービー)」、「Wera(ヴェラ)」、「BONDHUS(ボンダス)」、「KTC」、「Snap-on(スナップオン)」、「HAZET(ハゼット)」です。
こちらの画像を見て頂ければ、メーカー毎の形状の違いが一目瞭然だと思います。
この形状差によってどの様な違いが出てくるのかを見る為に、5mmHEXのキャップボルトを用意しました。
画像には2個のキャップボルトが映っています。HEXは同サイズですが、左側のボルトは頭の部分を削り、HEX部の奥行を少なくしています。ノギスでHEX部の奥行を測ったところ、無加工の右側ボルトが約4.5mm、加工を行った左側が約2.2mmでした。
したのがこちらの画像です。BONDHUS(ボンダス)が他のメーカーと比較して傾斜角が大きいのですが、これはボンダスのみキャップボルトのボールHEX部がひっかかり辛かった事によるものです。
ですので、この角度では実際にキャップボルトを回す事は難しいと思われます。
BONDHUSを除けば、やはりPBが最も角度ついています。以前より、PBのボールHEXは様々な業種のユーザーより高い評価を耳にしていましたが、この理由の一つに形状があるのだと思われます。
クビレの部分から先端のボール形状が水滴の様な形状になっており、この形状によって角度を付けてもスムーズに回せる事が可能となっていると思います。
次にテストしたのは、HEX部が浅いキャップボルトです。
こんなに浅いネジはあまり存在しないのではないかとは思いますが、先ほどと同様にHEXレンチを差し込んでみます。只、こちらでは自立する角度を見るのではなく(あまりにも浅い為、自立させる事が出来ませんでした。。。)、あくまで私の感覚となってしまいますが、レンチを差し込みキャップボルトを回せると思える限界の角度で撮影してみる事にしました。
因みにキャップボルトは、裏側からワッシャ-とスプリングワッシャーを挟んだ状態でナットで仮締めし、回す際に若干の抵抗がある様にしてあります。
結果としてはこの様になりました。
トルクレンチ等を使用し同一トルクで行った訳では無いので、あくまで参考程度に見て頂きたいと思います。通常のキャップボルトでは最も角度を付けられたPBは、こちらのテストでは角度を持たせるどころか、真っすぐに立てた状態でも回す事は厳しかったという状況でした。このテストではWera(ヴェラ)が最も角度を持たせる事が出来ましたが、ボールHEXの形状に依る物と言うよりは、HEXプラスの面接触効果が大きかった様に感じられました。
Wera以外は、ほぼ同じ角度といった印象でした。
なぜこの様な結果となってしまうのか?
左側の画像を見て頂けると形状の違いは勿論ですが、ボール部分の奥行が異なるのがお分かり頂けると思います。先ほどのテストでPBが角度を持たせる事が出来なかったのは、ボール部が綺麗な水滴型ゆえに奥行が有り、HEX部が浅いボルトの場合だと5mmのHEXが接触出来なくなってしまうのです。
HEXボルト/ネジと一言で言っても様々な種類、材質が有ります。
ボールHEXを使用する場合、ボルトやネジによってはベストなHEXレンチが異なってくる可能性がある事が今回のテストで分かりました。!
かなり以前から存在しているボールHEXレンチですが、改めて奥が深い工具だと痛感しました!!
本日も最後まで御覧頂きまして、本当に有難う御座います。